自動モードで入力および出力が同じサンプル レートの場合、ジッターが見られるが、手動モードのときは見られない
例:
入力クロック (2-3 ns のジッター) および出力クロックに 48 kHz のクロックを使用していて、どちらのクロックも周波数は同じだけれども、位相が異なっています。出力を監視していると、自動比率トラッキングを使用している場合、28 us のジッターが見られます。
自動トラッキングをオフにし、手動モードを使用すると、ジッターはなくなります。
状況によってはこの動作が見られる可能性はありますが、実際にはこれは問題にはならないはずです。
なぜ問題にならないのでしょうか。チャネルは主に周波数を感知しますが、2 つのチャネル間に位相差がある場合は位相を感知することに注意してください。AES オーディオはステレオ ペアとして処理されるため、左右チャネル間の位相差はありません。もっと重要なのは THD +N という値で、これは実際には周波数の変動です。Asynchronous Sample Rate Converter (ASRC) コアは、最高の THD パフォーマンスが出せるように最適化されています。
オーディオ位相のビデオ位相に対する変動は、遅延が数十ミリ秒程度、つまり、この例での 28 us の変動の数千倍のときに意味を持ちます。
なぜ変動があるのでしょうか。自動比率トラッキングがクローズド ループ制御システムであるために、変動が出ます。すばやくロックし、密接にトラッキングを行うようになっており、またロック モードでは歪みが発生しないように安定させることを最大の目的にしています。ロックされているときは、比率を 0.25 ppm ごとに変えて FIFO レベルを 16 かそれに非常に近い値で保つようにします。こうして比率調整によって計測可能なノイズが追加されなくなります。比率を安定させるため、だいたい 1 つ FIFO ロケーションがデッドゾーンとなっています。つまり、FIFO がターゲット フィル レベルの 1 サンプル内にあるとき、調整は行われません。計測された値、および前述のジッターと呼ばれるものは、このデッドゾーンの計測にすぎません。レベルは 1/16 単位、または 1 サンプル ロケーションで、19 または約 1 サンプル分の差があります。この例だと、自動位相でのビデオ比変動は約 28 us、または 48 kHz オーディオ サンプル (21 us) の約 1 1/3 のサンプル時間です。つまり、およそ 1 サンプル強のオーディオ対ビデオ位相変動は、このレベルの変動に対応し、ひいては、制御ループのデッドゾーンに対応しています。安定した自動比率トラッキングでは、これはすべて予期されるものであり、必要でもあります。
手動モードで変動がないのはなぜでしょうか。手動モードでは、比率をトラックする制御ループはないので、比率にも、オーディオとビデオの相対的な位相にも変動はありません。
また、同じサンプリング クロックが使用されていても、オーディオ出力は単なる入力の遅延バージョンではないことに注意してください。出力は、入力の周波数部に一致するように合成されたまったく別のサンプル セットです。このケースでは、偶然に入力と出力の周波数がまったく同じになっているだけです。このため、複数のチャネルがある場合は、チャネルを正しくアラインさせておくために、ASRC を介するようにするようにしてください。
Answer Number | アンサータイトル | 問題の発生したバージョン | 修正バージョン |
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54516 | LogiCORE IP Asynchronous Sample Rate Converter (ASRC) - Vivado 2013.1 以降のツール バージョンのリリース ノートおよび既知の問題 | N/A | N/A |
AR# 52889 | |
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日付 | 07/11/2018 |
ステータス | アーカイブ |
種類 | 一般 |
IP |