仮想化は、産業機器やオートモーティブ機器などのリアルタイム性と安全性が重視されるシステムで不可欠な要素です。エンベデッド ハイパーバイザーは、プラットフォーム上で利用できるハードウェア リソースを静的に分割し、各ソフトウェア ドメインに専用の物理 CPU を割り当てることで、IRQ レイテンシを最小限に抑えることができます。このようにして、リアルタイム OS はほかの大規模な OS の影響を受けることなく、これらと同時にタスクを実行できます。
ただし、実際にはクラス最高のハイパーバイザーを使用している場合でも、複数の CPU コアで L2 キャッシュが共有されているため、リアルタイム性に欠けるという問題が生じる可能性があります。1 つの CPU コア上にあるアプリケーションは、キャッシュの干渉によって、異なる仮想マシン内で実行される別のアプリケーションの性能に影響を与えてしまいます。
この問題を解決するのが、キャッシュ カラーリングです。このプレゼンテーションでは、共有 L2 キャッシュを使用する Cortex-A システムで安定した確定的レイテンシを実現するための新しい Xen 機能を紹介します。キャッシュ カラーリングにより、専用のキャッシュ ライン エントリを使用してメモリを割り当てることで、キャッシュの干渉を回避できます。Xen 上で実行するキャッシュ カラーリングについて説明し、ザイリンクスの Zynq UltraScale+ MPSoC で構築したソリューションに基づいて測定したレイテンシやライブ デモをと共に、この技術の利点を説明します。