2. デザイン ツール
  3. Vivado の概要
  4. Fmax の目標を達成
Vivado 概要に戻る

Fmax の目標を達成

概要

高速デザインで fMAX の目標を達成することは、ハードウェアの設計サイクルで特に困難なフェーズの 1 つです。Vivado™ では、QoR (QoR 評価レポート)、RQS (QoR 推奨項目レポート)、および IDR (インテリジェント デザイン run) などの独自機能を提供し、タイミングの達成をサポートします。これらのツールを利用することで、通常数週間かかるパフォーマンス目標の達成を数日で実現でき、生産性が飛躍的に向上します。

RQA (QoR 評価レポート)

 

RQA (QoR 評価レポート) 機能は、デザインがタイミング目標を満たす可能性を予測します。可能性の度合いを示す 1 ～ 5 のシンプルなスコアが表示され、1 が最も可能性が低く、5 が最も可能性が高いことを示します。評価スコアのほかにも、RQA はスコアの原因となる問題の種類、手法違反のサマリ、また低いスコアを改善するための次のステップの提案を示します。RQA 機能をコンパイル プロセスの早い段階で実行することで、コンパイルを続行するか、またはコンパイルが成功する可能性が極めて低い場合には無駄な労力を回避する判断が可能になります。

スコア 予測
1 デザインはインプリメンテーションを完了できない。
2 デザインはインプリメンテーションを完了するが、パフォーマンス目標は達成できない。
3 デザインはパフォーマンス目標を達成する可能性が低い。
4 デザインは、特定の指示を適用した場合にパフォーマンス目標を達成する可能性がある。
5 デザインはパフォーマンス目標を達成できる。

RQS (QoR 推奨項目レポート)

Vivado ML エディションには、ほかにも RQS (QoR 推奨項目レポート) というユーティリティが含まれています。評価が低い場合に、RQS を実行してタイミング目標を達成するための提案を得ることができます。RQS を使用してスコアを (たとえば 1/2/3/4 からより良いスコアへ) 向上させることで、パフォーマンス目標を達成する可能性を高めることができます。

RQS レポートには、UltraFast 設計手法レポート (report_methodology) にある重要な問題、警告、およびアドバイザリの要約が含まれます。設計手法レポートを実行していない場合は、レポートを実行して確認するように促すリマインダーが表示されます。設計手法レポートにある問題を確認して修正することが、パフォーマンス要件を満たすための最初のステップです。

RQS を実行するメリットは、パフォーマンス低下を招く問題を分析するだけでなく、それらの問題を修正するための制約やツール設定を生成できるため、パフォーマンス目標をすばやく達成できることです。

RQA および RQS を使用した自動デザイン クロージャの詳細は、UG906 の第 8 章を参照してください。

インテリジェント デザイン run (IDR)

IDR は、タイミングを満たすための自動タイミング クロージャ フローです。この機能を使用して、生産性を大幅に向上させることができますが、通常の Vivado コンパイルに比べて、コンパイル時間は 3 倍から 5 倍長くなります。

Vivado は、機械学習 (ML) で最適化された学習に基づいて遅延や密集度を予測し、デザインがタイミング目標を達成するのに役立つ制約を推奨します。IDR は、デザインのパフォーマンス目標達成を目指すタイミング クロージャのためのアグレッシブなインプリメンテーション run を実行します。

IDR は、これらの ML ストラテジで予測されるツールの設定や指示に従います。これらの ML ストラテジを実行することにより、QoR の変動が平滑化されます。

IDR は 3 つのステージで構成される:
IDR は 3 つのステージで構成される:

次のベンチマークは、Versal モノリシック デバイスをターゲットとする、Vivado ML エディション 2023.1 での IDR の結果を示しています。青線は、45 のカスタマー デザインで平均 8% 改善していることを示しています。

IDR_Benchmark_versal

これは Vivado エンジニアリング チームが 2023 年 3 月 26 日に実施したテストに基づいており、Versal ベースの 45 の顧客デザインを対象に Vivado ML 2023.1 で IDR モードを使用した場合と使用しない場合 (デフォルト) を比較した結果です。結果は、すべてのデザインに対して 1 回実行し、差を計算して平均化したものです。実際の結果は、各デザイン、システム構成、ソフトウェア バージョンなどによって異なる場合があります。