コーデックで帯域幅、ストレージ、コストを削減

ビデオやオーディオのエンコーダー、デコーダー、トランスコーダーは、放送や業務用 AV のデリバリー チェーン全体 (ビデオ アクイジションからディスプレイまで) で、さまざまな種類が見られます。圧縮コーデックはカメラ センサーに直接実装され、現在では未加工形式で受信できます。ポストプロダクション、リモート プロダクション、コントリビューション、シネマ、AV-over-IP では、中間コーデックやメザニン コーデックとして使用されます。また、OTT ストリーミングや DTH 配信のロッシー符号化など、消費者への最終的な配信フェーズにも使用されています。いかなる場合でも、消費電力、コスト、フォーム ファクター、ビデオ品質、レイテンシ、チャネル密度の最適なバランスを取ることが重要です。AMD の適応型プラットフォームでは、コーデック ユニット、アライアンス パートナーの IP コア、ハードウェア アクセラレーションを統合し、8K まで対応できるコスト効果の高いリアルタイム インプリメンテーションが可能になるため、既存および最新のコーデックを統合して常に進化させることが可能です。

コーデックで帯域幅、ストレージ、コストを削減

コーデックの進化

コーデックの進化

H.264/H.265 (AVC/HEVC)

H.264/AVC/MPEG-4 Part 10 は、ITU-T と MPEG の合同組織 JVT (Joint Video Team) によって策定されたデジタル ビデオ コーデック規格です。最大 4K UHD ビデオをサポートする H.264 は、MPEG-2 の半分のビットレートで同等の画質を表示することを目的とし、さまざまな HDTV 配信規格、IP カメラ、PC やウェブベースのストリーミング プラットフォーム、携帯電話などで幅広く採用されています。H.265/HEVC は、さらなる品質向上を目指して ITU-T が標準化した新しいビデオ コーディング規格であり、H.264 の半分のビットレートで同等の画質を表示することを可能にし、4K および 8K UHD ビデオにも対応します。H.265 は、 4K および 8K UHD ビデオもサポートします。近年では、VVC や LC-EVC などの新しいコーデックが多数登場していますが、AVC や HEVC は業界の「主力」コーデックとしてすでに定着しているため、今後数年間は有効なコーデックとして使用されるでしょう。

AMD は、Zynq UltraScale+ MPSoC を搭載したユニークなプラットフォームを提供しており、4:2:2 10bit の放送品質で 4K60 (またはマルチチャネル SD/HD) の同時エンコード/デコードを可能にします。業界をリードする超低レイテンシを実現できるため、コントリビューション、プロフェッショナル ストリーミング アプリケーション、高密度マルチチャネル OTT エンコーダーに理想的です。このプラットフォームで実現するコーデックは柔軟な設定が可能で、ビットレート、品質、レイテンシ、消費電力のトレードオフも可能になります。

H.264/H.265 (AVC/HEVC) logo

JPEG 2000

EMMY® 賞受賞 JPEG 2000 IP コア

JPEG 2000 は、ウェーブレット変換を用いた画像符号化方式であり、拡張性と使いやすさに優れています。コンテンツは、ロスレス品質までの任意の品質で一度符号化できますが、復号化は異なる品質と解像度または関心領域 (ROI) に対して実行できます。また、DCT ベースのコーデックのようなブロック ノイズを発生させることなく、ぼかし処理を行うことができ、エンコード/デコードの複数生成後も同レベルの品質を維持できます。2000 年に ISO によって策定され、その後も進化を続け、超低レイテンシ (ULL) モードや高スループット (HT) モードなどが後続バージョンで追加されています。JPEG 2000 は、デジタル シネマでは必須の圧縮フォーマットであり、アーカイブ、コントリビューション(VSF TR-01 で定義されている ST 2022 準拠の AV-over-IP を使用)、さらには 4K60 を 1GE リンクで伝送可能にする業務用 AV 業界の IP ネットワークでも幅広く使用されています。AMD プラットフォームに JPEG 2000 を実装すると、かつて標準的な ASSP では不可能だった 4K/8K ビデオを単一デバイスで実現できます。また、このプラットフォームにパートナー企業の受賞歴のある IP コアを使用することで、最大 8K60 4:4:4 10bit の JPEG 2000 画像およびビデオのエンコード/デコードを最小フットプリント、最高品質、最高速度で実現できます。

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JPEG XS

非圧縮ビデオに代わる新しい ISO コーデック フォーマット

高解像度化 (4K/8K)、高フレームレート化、360 度キャプチャ、高画質化 (HDR など) が進み、すべての機器とインフラは膨大なデータに対応する必要があります。AV-over-IP、バーチャル リアリティ、ゲーム、ライブ プロダクション、リモート プロダクション、デジタル シネマなどのあらゆるワークフローで、現在非圧縮ビデオが使用されている箇所であれば JPEG XS メザニン コーデック規格を適用できます。軽量画像符号化システムとして損失のない (ロスレス) 画質を維持しながら、2:1 ~ 12:1 (あるいはそれ以上) の圧縮率でラインベース レイテンシを提供します。AMD のパートナーであり、JPEG XS のパイオニアである intoPIX 社は、JPEG XS コーデックの幅広いラインナップを提供しています。フットプリントが小さいため、ほぼすべての AMD プラットフォームに対応でき、JPEG XS規格の進化に対応した将来性のある製品となっています。

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TICO-XS FIP

JPEG XS に Flawless Imaging Profile (FIP) を組み合わせた新しいコーデック

パートナーの intoPIX 社が開発した TicoXS FIP コーデックは、4K/8K のオーディオ ビデオ伝送とワークフローに最適な圧縮技術です。AMD のプラットフォームに構築されたこのソリューションは、Cat5e ケーブル (1GbE) や無線リンク (WiFi-6、60GHz など) を使用する IP ネットワーク経由の 4K/8K 映像伝送を可能にし、低フットプリントで遅延のない最高の映像品質を実現できます。JPEG XS に FIP コーディング プロファイルを組み合わせることで、より効率的なコーディングが可能になります。複雑なデスクトップ コンテンツや自然なコンテンツをロスレス品質で提供し、回線ベースの遅延、高い圧縮率、およびパケット損失のエラー コンシールメントを実現します。特に、無線オーディオ ビデオ/ディスプレイ、KVM、AV-over-IP (IPMX など)、ゲームなどのアプリケーションに最適です。品質、信頼性、ユーザー エクスペリエンスで最高のパフォーマンスを実現できるため、より持続可能な A/V 製品とワークフローの構築が可能になります。

TicoXS FIP

Colibri

 

グラフィック ビデオ コンテンツの符号化を視覚的に損失のない画質で実現

AMD のパートナーである Audinate 社の Colibri コーデックは、AV-over-IP 専用に開発され、テキスト、スプレッドシート、アニメーションを含む高品質の複合グラフィック コンテンツを完璧に配信/提供することができます。業務用 AV の主要ユースケースである、伝送速度 1GE/2.5GE で 4K60 の高画質配信向けに最適化されています。また、8K AV ストリーミングに対応できる適応性にも優れています。完璧な画像品質に加えて、Colibri コーデックはわずか 24 本のビデオ チャネルでほぼゼロ遅延が約束されるため、KVM や制御室での使用に最適です。フットプリントが小さいため、Colibri はほぼすべての AMD プラットフォームに実装可能です。

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Apple ProRes

マルチストリームのリアルタイム編集が可能

Apple ProRes™ は、プロフェッショナル ポストプロダクションで使用される最も一般的なコーデックの 1 つです。4K/5K のさまざまな 4:2:2 および 4:4:4 フォーマットをサポートする Apple ProRes コーデックは、オフラインでのメディア ワークフローにおけるあらゆるユースケースを想定し、さまざまなビットレートとビデオ品質を目標としています。

AMD のパートナーである IBEX Technologies 社は、Apple ProRes エンコーダー/デコーダー IP を提供しており、FPGA 実装の Apple 社公認製品リストにも掲載されています。

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MPEG-5 (EVC、LCEVC) & H.266 (VVC)

次世代の ITU-T/MPEG コーデック

2020 年に、MPEG-5 Part1 EVC(Essential Video Coding) のベースライン プロファイルが、コンテンツ制作者向けにロイヤリティフリー オプションとして構築されました。一方、メイン プロファイルでは、より高い圧縮性能を実現するための拡張ツールセット(ロイヤリティ対象)が提供されています。

同時に、ベース ビットストリームとエンハンスメント ビットストリームを用いて、既存のコーデックの圧縮効率を高めることを目的とする MPEG-5 Part2 LCEVC (Low Complexity Enhancement Video Coding) も提供されています。LCEVC コーデックの出力は、原則的にエンハンスメント レイヤーであるため、別のコーデック (AVC、HEVC など) でエンコードされたビデオと組み合わせることで、より高いビデオ品質のビデオストリームが生成されます。

VVC (Versatile Video Coding) は、HEVC より圧縮効率を 30% ~ 50% 向上させることを目標とした H.266 の最新規格です。VVC は、4K、8K、さらには 16K の UHD コンテンツ ストリーミングに適しており、ハイ ダイナミック レンジ (HDR) と 360度のビデオ サポートが強化されていることが特徴です。

EVC、VVC、LCEVC はまだ新しく、確立するには時間がかかりますが、AMD のパートナーである V-Nova は LCEVC 規格の開発に貢献し、すでにコンテナ化したアプリケーションを構築し、今日 AMD の Alveo PCIe アクセラレータ カードで評価およびデプロイすることが可能になっています。

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オーディオ コーデック

最新の業務用オーディオ コーデックを効率的に統合

AMD のプラットフォームを利用することで、自社の製品にオーディオ機能を素早く統合でき、差別化、チャネル密度の向上、市場投入までの時間短縮が可能になります。AMD プラットフォームの DSP 性能、帯域幅、機能を最大限に活用でき、オーディオ処理を実行するための個別コンポーネントを必要としないシステムオンチップ デザインを実装できるため、特にマルチチャネルのオーディオ アプリケーションではコストを大幅に削減できます。AMD は、ASSP や DSP の代替手段費用効果が高く、柔軟に対応できる アーキテクチャを提供し、さらにオーディオ/スピーチ コーデックやエコー除去を提供する世界規模のパートナー エコシステムも充実しています。アライアンス パートナー Ittiam Systems 社は、AAC や USAC から、Arm プロセッサ サブシステムで実行される MP3 や WMA まで、さまざまなオーディオ コーデックを提供しています。このため、AMD の Zynq 7000SoC または Zynq UltraScale+ MPSoC をベースとする統合 AV デザインに最適です。

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