第四章 FPGA で動かす

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さて、開発ツールと評価基板が準備できました。皆さんもウズウズしていることでしょう。さっそく FPGA を設計して動かしてみましょう。初めは、謎が謎を呼ばないデザインで試しましょう。シンプルな回路を使い、デザインの進め方を把握できるようにしました。この先、 HDL 記述 (回路入力) や ISE ツールに慣れてくると、FPGA が持っている機能をフルに使った設計ができるようになります。急ぐことはありません。

ここで使用するサンプル デザインは、versa_light.vhd です。

では、ISE Design Suite のアイコンをダブルクリックしてください。

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*手順の詳細についてはこちらをご覧ください。

デザインをコンパイル

次は、いよいよデザインの処理です。これは「Process」ペインの各項目をクリックしながら進めます。一気にビットストリーム ファイルを生成させることも可能ですが、順にステップを追っていきましょう。ここでは、ツールの動きを設定する各種のオプションに関してはデフォルト設定で進めます。

*手順の詳細については、こちらをご覧ください。

FPGA で動かす

では、いよいよ FPGA に先ほどのデザインをダウンロードします。簡単な例ですが、回路が入っていないブランクの FPGA デバイスが、あなた仕様の LSI として動き出します。

*手順の詳細については、こちらをご覧ください。

どうでしょう、動作は確認できましたか。思ったほど FPGA は難しくないですね。 非常に簡単なサンプルでしたが、初めてさわる人でも、第 4 章のプロジェクトを開始してから約 1 時間程度でデザインが動作すると思います。このデザインはかなり小さな規模ですので、論理合成、配置配線、ビットストリーム生成など実際にソフトウェアが処理するのに要する時間は数分です。構想がまとまり、デザイン入力、コンパイルが終わると、すぐにテストすることができる、これが FPGA の醍醐味です。FPGA の奥深さ、面白さを味わっていただけたでしょうか。

サンプル デザイン以外にも、皆さんの回路で試してみてください。

FPGA で設計をスタート

初めての FPGA の設計どうでしたか。動作しましたか?

想像していたより簡単だったのではないでしょうか。何だ、もっと早く FPGA に取り組めば良かったと感じていらっしゃる方も多いと思います。そして、困難さより、むしろ楽しさを感じられた方も多いと思います。自分のアイデアが具現化するのを体験することは、ものづくりに携わっているわれわれに楽しみを与えてくれるものです。

この後は、お手元の評価基板のユーザに開放された I/O 、搭載されているインターフェイスやメモリなどを利用して、読者の皆さんの色々なアイデアを試してみてください。今まで別世界の話と感じていた自分専用の LSI が FPGA を使うことで可能になり、実際に製品に搭載できる。楽しいと思いませんか。皆さんの想像力、創造性を働かせて、オリジナリティに富んだユニークなアプリケーションをデザインするだけです。こんなデバイスがあればなぁと悩んでいる皆さん、FPGA で設計をスタートしてください。

FPGA に搭載されたアプリケーションは、すでに多くの分野で FPGA の可能性を証明しています。第 2 章でご紹介した通信、医療、放送機器以外にも、ほぼ全てのアプリケーション分野で活用されています。また、今後製品化される ARM 社のプロセッサを組み合わせたAMD の新しいシングルチップなどは、組み込みシステム開発者も見過ごせないデバイスです。
まだ利用していない方も、今から準備して早すぎることはありません。ASIC の設計件数も年々減少し、ASIC による製品開発が困難な場面で、オリジナリティのある開発を遂行するのに FPGA という新たな道具を活用しない手はありません。

FPGA の持つ、柔軟性に支えられた高速シリアル通信機能、演算処理性能、豊富な検証済みの IP コアなど、使いこなせば限りない可能性が引き出せます。頻繁な設計改定や、顧客ごとに異なる技術要件に見合う製品を実現するためには、 FPGA は最適なデバイスです。

Virtex 6 および Spartan 6 FPGA は、皆さんのアイデアを実現する専用 LSI として活躍するに違いありません。

今まで判りにくいと感じていたことが、ちょっとした理屈を知ることや体験によって、突然「そうかぁ!」と判ってしまうことがあります。この FPGA 講座がそのようなきっかけになることを願っています。

Spartan 6 評価基板の協力:特殊電子回路株式会社